第31章 この手には乗らない

プレゼント?

南坂海乃は、薄汚れた小さな手が抱える画板を見つめた。

絵の具はけばけばしく、目に刺さるほど鮮やかだ。そこに描かれた「家族三人」の笑顔は、言葉のない嘲笑みたいに見えた。

――一年前も、同じ手だった。

彼女が丹精込めて用意した贈り物を、乱暴に押しのけたのは。

胸いっぱいの愛情を踏みにじって、佐藤詩乃の胸へ飛び込んだのも。

そして甘ったるい声で言ったのだ。

おばちゃんが、いちばんのママだって。

あのときの楓花は、実の母親がどれほど痛むか、考えたことがあっただろうか。

ない。

最初から、なかった。

「いらない」

南坂海乃の声は、真冬の氷柱みたいに冷え切っていた。...

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